The sweetest story of Raspberry ~4~ 雨
―あげる。 そう言われて、また新たに贈られたプレゼント。ありがとうとは言うんだけれど、まったく心に響かなかった。 ずっと気づいてなかった。私とあいつはずっと一緒で、大学も一緒。近所に住んでて、昔から事あるごとに行動を共にしていた。でも私はいつも他の仲間と一緒にいたし、私にとってあいつは別に何もない、ただの友達だった。考えてみると、よく考えてみると、もしか...
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The sweetest story of Raspberry ~3~ 秋空
秋は好き。あったかい日、寒い日、たくさんの感情が芽生えてくる。遠い空から、飛行機が雲を描きながらゆっくりとこっちにやってきた。 “おかえりなさい。” 私はそう、つぶやいた。 茶色いネルシャツで、巻いたピンクブラウンの髪が少し短く見える。夏休み中、彼は地元に帰っていた。周りが東京の渦に巻かれて、暑い暑いと唸っているころ、彼は北海道で大家族の面倒を...
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The sweetest story of Raspberry ~2~ 信じること
大学3年になってもこんなに意地はってる子なんてめったにいない、といつも笑われる。 “好きな人なんかいない。” いつもそうやってはぐらかしてしまう。だって、みんな知らないし。そりゃ、共通の友達だったらいうかもしれない、でも、言う必要ないじゃない。 …ってそんなこと言いながら、恥ずかしがっているだけだってことは十分わかってる。 飲食店のバイトをしている私は、いつ...
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The sweetest story of Raspberry ~1~ うさぎ
最近walkmanが壊れて、今日は携帯からイヤホンを伸ばしてる。Walkmanを買ってから新しい曲を入れてなくて、携帯からは昔の曲ばかり流れてくる。携帯は壊れそうなくらい前の型。新しい環境になる前に、携帯を変えようとしたのだけれど、結局次の型が出るまで待とうなんてしてたらもう1年と半年くらいたってしまった。 冬。寒くて飛び込んだ喫茶店で、次の授業の予習。英語の文献を見ながらホットココアを飲んで音...
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第十六話 愛の物語
第十六話 愛の物語 私はサムの居場所を探しながら、どうしても伝えたい想いがたくさんあるのを抑えられずに、ただただ涙が頬を伝うたび足を止めた。私はどうしてこんなにもサムに惹かれていたのか。 御伽話なんて信じない。小さな子供のようにロマンに満ち溢れた恋愛なんて、運命なんて信じない。そうやって自分が信じていたのも…今はもう信じない。 目の前にある現実が、私の辿るただひとつの...
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第十五話 過去が重なる日
第十五話 過去が重なる日 私にとっては、なんでもない結論だったのかもしれない。結局はこうなるのであったのに、なぜ悩んで悩んで、ずっとこんな遠回りばかりしていたんだろう。大丈夫、大丈夫。きっと、私の気持ちに悔いはないから。 絶対、幸せになれるはずだから…。 この言葉を、その夜何度唱えたことだろうか。 その日の夢には、昔落としてしまったお守りが出てきた。祖母...
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第十四話 事実
第十四話 事実 「いつ…?」 消えてしまいそうなくらい小さな声で、私はイアンに問いかけた。 「いつから知っていたの…。」 震えないようにしていても、声を出せば消え入りそうで、閉じていては手が凍えているように動いてしまう。 思い当たる節がないかと思い巡らせても、何もわからない。そう、何も分からないに決まってる。自分からイアンを突き放していたのだから。 「も...
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第十三話 秘密
第十三話 秘密 「イヴは、女の子と男の子どっちがいい?」 イアンは唐突に、そんな言葉を私へ振ってきた。私はびっくりして、思わず頷いていた。 「頷くんじゃなくて、どっち?」 そういって、大人の目で私の目を覗き込んできた。これが落ち着くってことなのは、ずいぶん前から知っていた。本当に安心するの。サムとはまた違うその瞳に。 「女って言ったって、どうせだめじゃない。」 私はそんな思いとは裏...
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第十二話 ガラスの靴
第十二話 ガラスの靴 私はサムを凝視しながら、泣きたい気持ちを抑えて、この人とさよならしなければいけないということを再認識した。 「イヴさ。あげたいもんあるんだ。」 告白してからというもの、二、三分固まって動かなかったサム。吹っ切れた、というように、今度は私の横から立ち去って、棚のところをガサゴソし始めた。 「ちょっと前に、君にあげたいと思って。すぐに、来なくなっちゃったけど。」 ...
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第十一話 告白
第十一話 告白 サムはもう、前みたいに窓から覗かれることなく淡々と仕事をこなしているみたい。あの窓から覗くと、彼はチラッとこっちを見て、また視線を元に戻した。また客が来た、とでも思ったのだろう。 私は彼が何か言うまでここに立っていようと決めて、彼が何か可愛らしいケーキを作っている姿を、黙って見つめていた。 数分が経ち、ずっと私がいる気配を感じたのだろう。サムはいきなりゆっくりと顔を...
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